<随 想>
================== === = ==2004年12月
= アカントアメーバによる角膜炎 =

 水道水で、コンタクトレンズを洗っている人は、角膜感染症の危険があります。薬液による消毒は、煮沸による消毒よりも不完全で、このアカントアメーバによる重症の感染症を起こす可能性があります。この病気が怖いのは、薬が効きにくいのと、診断が難しい点です。眼科医の指導の下で、消毒法などの指導を受けないと、角膜に濁りを残し、視力の低下を招きます。特に、若い、小、中、高校生なども、コンタクトを使用する今の時代には、其の危険性が、憂慮されます。カラーコンタクトは、酸素透過性の良いものを選んで下さい。
 視力が悪くないのに、ファッションだけのために、カラーコンタクトをするのは、危険ですので、止めましょう。コンタクトの理想は、毎日の使い捨てタイプのものです。

===================== ===  2004年4月
= 青いサングラスは、危険? =

 加齢黄斑変性症の患者さんには、特に、青い光が、網膜に有害であるという事が最近、言われだしている。
 紫外線B波(〜320nm)は、角膜で跳ね返され事が多く、紫外線A波(〜400nm)は、角膜を透過し、水晶体に吸収され、白内障の原因ともなる。青色光(〜450nm)より波長の長い光は、黄斑部まで届くが、このうちエネルギーが高い青い光が、黄斑部に有害と見なされている。
 従って、青色光を吸収する、黄色のサングラスが、黄斑部の保護には、望ましいと考えられる。
 そして、黄斑部のルテインを、内服して増やせば、ルテインの黄色色素が青色光を吸収し、光による酸化のダメージを軽減し、更に、網膜黄斑部の保護効果が上がると、考えられている。
 時代は、今、加齢黄斑変性症の予防に、ルテインの内服が、推奨されている。
 細部は、ご相談下さい。

================== === = ==2004年3月
= 高貴な方が罹られた緑内障 =


 日本の皇室のある高貴なお方が、緑内障で、東大眼科で治療を受けられたという、新聞記事がありました。
 推測するに、これは原発性閉塞隅角緑内障というタイプの、緑内障であると思われます。 これは年齢と共に成長し続けて、肥大化した水晶体が白内障になり、房水の流れる出口を狭くして、眼圧が急上昇して、痛みを引き起こして、眼科受診となられたものと思われます。
 レーザー手術を受けられたとありましたが、これは虹彩の根元に房水の通り道の穴を開ける手術です。
 さらに推測しますと、このタイプの緑内障は、房水の出口の狭い、元々小さめの眼球に起きてくるので、この方は遠視の目であったものと考えられます。
 以上、医者には、患者さんの秘密の守秘義務がありますが、この話は、東大眼科の教授から聞いた話ではなく、私の推測である事をお断りしておきます。

===================== ===  2004年2月
= 血管新生緑内障 =


 網膜に大量の出血した後に、緑内障を起こすことがあり、難治のために失明することもあり、血管新生緑内障と、特に命名されている。
 網膜に出血する主な病気としては、高血圧や動脈硬化による網膜中心静脈閉塞症や、糖尿病などがあり、網膜出血に対しては、薬物の内服の治療だけでなく、レーザー網膜光凝固手術も必要となります。発症のメカニズムとしては、出血の為に網膜が虚血に陥り、そこから血管増殖因子が産生され、前眼部にまで拡散した因子が、虹彩にも新生血管を形成して、房水の流出部までを塞いで、眼圧を上昇させて、視神経の萎縮をもたらすと考えられている。
 たかが網膜出血と軽く考えていて、継続した治療を受けないで、来院しなくなると、失明の危険がありますので、主治医には、遠慮なくご相談ください。

================== ==== ==2004年1月
= ポスナー・シュロスマン症候群 =


ポスナー・シュロスマン症候群と聞いて、何の病気か判らない方が多いと思いますが、これは緑内障の中の、特殊なタイプのもので、別名、緑内障性毛様体炎発症、とも言われております。
 この型の緑内障は、虹彩毛様体炎に続いて起きてくる緑内障で、そのため二次性緑内障とか、続発性緑内障という名でも呼ばれます。
 一般的には、虹彩毛様体の炎症が治まれば、眼圧も下がって、視神経に致命的な障害を残さずに、治りますが、炎症を繰り返して、高眼圧が続く人もいます。
 こうなると視神経の萎縮が進行してきます。 点眼薬だけでは、押さえきれずに、手術をしても、なお視神経の萎縮が、進行する人もいます。
 虹彩毛様体炎を起こすと、目が赤くなり、霞んで見えなくなり、痛くなるので、眼科を受診すると思いますが、臨床経験の豊富な、眼科専門医にかかる事をお勧めします。

========================2003年12月
= 射撃と焦点と人工水晶体眼 =

ピストル射撃をする場合に、標的がはっきり見えなくては当たりませんが、実は射撃では標的よりも、照星(フロントサイト)と照門(リアサイト)、特に照星にピントを合わせる事が、とても大切です。
 ピントは、同時に3箇所には合いませんので、照星にピントを合わせながら、引き金を引くことになります。 これは、白内障の手術後の眼について考えれば、遠くと近くと同時には、ピントが合わないから、遠くが見えるような眼内レンズを入れれば、近くのメガネが必要になりますが、これは老眼と同じような状態になっているからです。
 一方、近くにピントが合うような眼内レンズを入れると、遠くを見るときに、メガネが必要になります。
 実際的には、中間に合わせておき、細かい調整はメガネで行うという事になります。 もともと遠視の人を、近くが見やすいようにと、近視に合わせると、違和感が残り、不満が出ることが多いようです。
 細部は、ご相談下さい。
========================2003年11月
= 射撃と両眼視 =

オリンピック選手の強化トレーニングとして、ピストルナショナルチーム合宿がありますが、その中で教えられている、眼に関する注意をご紹介します。
 まず、両眼開放により、身体バランスを維持できるので、両眼開放で照準できるように訓練する。 また、一点(標的)だけに過度な集中視をしない。 両眼視により集中範囲を拡大する。これにより集中力が持続でき、距離や方向性など空間認知能力が高まる。周辺視力が強化されると左右の視野が広くなり、身体バランスが向上し、前後視野も深くなり、照門、照星に意識を残しながら、標的に視点を合わせることができるようになる。
 私は、射撃を始めた時に、片目を隠して効き目で狙うように、助言されましたが、これはやってみると、かなり疲れ易く、長続きしませんでしたので、両眼で照準して、10ヶ月で、火薬のピストルのライセンスの4段を取得しました。 
========================2003年10月
射撃と眼とサングラス =


 アテネオリンピックのエアーピストル射撃の出場権は、中重勝(広島県警)選手が、獲得し、金メダルが、期待されています。
 今回は、特にサングラスと射撃の視力について、考えてみたいと思います。黄色のレンズは、曇りの日に、コントラストをはっきりさせて、見やすくします。灰色(グレー)は、まぶしい晴れの日に、ぎらぎらする光をカットします。茶色(ブラウン)は、上記の中間です。だいだい色は、多目的で、すべての条件に合い、見やすくします。偏光レンズは、フィルターの角度を回せば、好みの暗さで、遮光が可能となります。アイリスシャッターは、ピンホール効果で、焦点深度が深くなり、視力が向上します。
 メガネは気象条件に合わせて使い、紫外線もカットして、眼の病気、白内障や、老人性黄班変性症などを予防し、網膜色素変性症の悪化を防ぎましょう。

========================2003年9月
= マスターアイ(利き目)と射撃と白内障手術 =

あなたはご自分の利き目が、右・左のどちらか、ご存知ですか?
 利き腕とマスター・アイが一致している人、例えば右利きで、利き目も右の人は、85%を占めますが、一方、右利きで、左目がマスター・アイという人や、左利きで右目がマスター・アイという人達がいて、射撃にはかなり不利となり、良い成績は出ておりません。
 右と左の視力が、大きく違う人を、不同視と言いますが、白内障の進行状況が、右と左で違う時に、どちらかの眼を先に手術する事になりますが、手術後に少し近視になるようにすると、近くも見やすくて、本が楽に読み易くなります。後から手術する方の眼は、先にやった手術眼とあまり差が無いように合わせます。そして、メガネは左右の度が違う場合には、利き目に合わせるようにしないと、疲れやすくなり、本や新聞が読み難くなり、頭痛を起こしたり、気分が悪くなったりします。詳しくは、直接ご相談下さい。